第13回 補強ガセットと合板ガセットの比較(平成5年度)

※図をクリックすると拡大されます。

 TIP構法は原則として柱と横架材の交点をガセットプレート(以下ガセットという)で接合する構法です。ガセットの材料として、従来は構造用合板を使用していましたが、合板は筋かい端部にかかる荷重が一定の大きさを超えると表面からパラパラと剥がれ落ちてきてガセットの破壊が進みます。そこでガセットの大きさを変えずに耐震性能を向上させる方法を模索しました。いろいろと検討を重ねた結果行きついたのは、合板にエポキシ樹脂を用いて薄い鉄板を貼り付けて補強することです。

  以前、0.35mmと0.4mmの鉄板を三角形に切り取って薄鉄板ガセットとして実験した結果、鉄板だけでもかなりの強度のあることが判っていました。そこで構造用合板ガセット(以下合板ガセット)に鉄板を圧着して鉄板補強合板ガセット(以下補強ガセット)とすれば、これは間違いなく合板ガセットより強くなることが予想できました。しかし、感覚的に判っていても、定量的にどの程度強くなるかを知ろうとすると、実験して比較する以外に途はありません。そこで、平成5年度の卒業研究のテーマのひとつにとり入れることにしました。

  図1は試験体の図面です。試験体には2つのパターンがあり、左側は筋かいに圧縮力がかかるパターンで右側は筋かいに引張力がかかるパターンです。また、図面の上段は筋かい端部の接合部に合板ガセットを用いた場合で、下段は補強ガセットを用いた場合です。また、図2は合板ガセットと補強ガセットの接合部詳細図です。外側から見たときは全く同じに見えますが内側から見ると鉄板の有無で合板ガセットと補強ガセットの違いが判ります。

  図3図4は合板ガセットを使用した耐震壁と補強ガセットを使用した耐震壁の荷重変形曲線で、図3は筋かいに圧縮力が作用する場合、図4は筋かいに引張力が作用する場合です。図5は、変位ごとに、圧縮力が作用する場合の荷重と引張力が作用する場合の荷重の平均値に対する荷重変形曲線です。図3の圧縮パターンではすべての変位で補強ガセットが合板ガセットに勝り、最大荷重では1.35倍になります。図4の引張パターンでも、すべての変位で補強ガセットが勝り、最大荷重では1.12倍になります。図5の平均値でも当然のことですが、補強ガセットの方が合板ガセットより勝り、最大荷重では1.22倍になります。また、耐震性能上重要な「粘り強さ」については補強ガセット・合板ガセットともに、非常に粘り強いということが判りました。


図1



図2


図3


図4


図5

Copyright (C)
JAPAN TIP ARCHITECTURAL ASSOCIATION.
All Rights Reserved.
e-mail:info@tip-str.com