第22 吸収エネルギー その2
 
1.45×90 筋かいを入れた耐震壁の吸収エネルギー
 
 45×90 筋かいを入れた耐震壁の吸収エネルギーを公庫仕様とTIP仕様で比較します。この比較の対象となる試験体はこちら、荷重変位曲線はこちらをクリックしてください。
 図1は公庫仕様とTIP仕様の2本の荷重変位曲線から、それぞれの吸収エネルギーを計算して作成した棒グラフです。この棒グラフは左側が公庫仕様で右側はTIP仕様です。この棒グラフをみると、すべての変位点で右側のグラフが左側より僅かながら上回っており、TIP仕様のほうが公庫仕様より粘り強いことが分かります。因みに両者の比率をみると、すべての変位点でTIP仕様は公庫仕様の1.2 倍になっています。
図1
図1
 
2.下地板を張った無開口壁の吸収エネルギー
 

 下地板を全面に張った無開口壁の吸収エネルギーを公庫仕様とTIP仕様で比較します。この比較の対象となる試験体についてはこちらを、荷重変位曲線はこちらをクリックしてください。ただし、TIP仕様は下地板が圧縮を受けるパターンと引張を受けるパターンがあるので、両者の平均値を採用しました。
 図2は公庫仕様とTIP仕様(平均値)の2 本の荷重変位曲線から、それぞれの吸収エネルギーを計算して作成した棒グラフです。棒グラフの配置については、これからも公庫仕様を左、TIP仕様を右と決めておきましょう。この棒グラフをみると、変位が大きくなるほど両者の差も大きくなり、T I P 仕様と公庫仕様の違いがはっきりしました。因みに、両者の比率は、変位の小さい順に2.3 倍、2.9 倍、3.9 倍、4.4 倍、5.0 倍と増えていきます。この大きな違いはどこから来たのでしょうか。私は、柱と横架材の交点四箇所をガセットプレートで接合したことと、斜め45度に張った下地板の相乗効果によるものと考えています。

図2
図2
 
3.下地板を張った窓開口壁の吸収エネルギー
 

 下地板を張った窓開口壁の吸収エネルギーを公庫仕様とTIP仕様で比較します。この比較の対象となる試験体についてはこちらを、荷重変位曲線はこちらをクリックしてください。今回は窓開口壁なので両方とも雑壁と呼ばれる非耐力壁で、いわゆる耐震壁ではありません。
 しかし、たとえ雑壁でも壁である以上、地震の影響で入力エネルギーが入ってくることは間違いありません。図3は公庫仕様とTIP仕様の2 本の荷重変位曲線からそれぞれの吸収エネルギーを計算して作成した棒グラフです。この棒グラフをみると、すべての変位点で右側のグラフが左側より伸びていて、T I P 仕様の吸収エネルギーのほうが公庫仕様のそれより大きいことが分かります。因みに、TIP仕様と公庫仕様の比率は、変位の小さい順に3倍、2.8 倍、3.8 倍、4.2 倍、4.6 倍と変位50mmを除き無開口壁の場合と似た傾向がみられました。
 TIP仕様の雑壁の吸収エネルギーがかなり大きいので、次のような比較を追加してみることにしました。公庫仕様の耐震壁とTIP仕様の雑壁の比較です。常識的には法令で定めた耐震壁の方が雑壁より大きいと思われるでしょうが、果たしてどうなりますか。
 図4 は下地板を全面に張った公庫仕様の耐震壁と、窓開口部を除くすべてに下地板を張ったTIP仕様の雑壁の吸収エネルギーを比較した棒グラフです。この棒グラフをみるとTIP仕様の雑壁のほうが公庫仕様の耐震壁より粘り強いことが分かります。両者の比率は、変位の小さい順に2 倍、2.4 倍、3.1 倍、3.3 倍、3.6 倍となりました。雑壁の吸収エネルギーが耐震壁の2 倍から3.6 倍も大きくなるとは、私自身、想像もできませんでした。この、窓開口壁の粘り強さも、四隅に張ったガセットプレートと窓開口を包み込むように張った下地板の相乗効果によるものと思います。

図3 図4
図3 図4

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